第1章 出逢い
「全然大丈夫!!!まだまだ覚えることも多いし、ドリンクの練習だって早くしたいもん!行く!行きます!働かせてください!!」
絶対にこんなことで仕事を休みたくないと断固拒否の陽奈子。
「だが、そんなに無理をしても気持ちが落ち着かないので…「いいえっ!!」」
話を割って止める。
「私は大丈夫です!ほらっ!この通り元気いっぱい!!」
と、飛んだり跳ねたりしてみせた。
「はぁー、ホントに、無理は禁物ですよ?じゃ、そろそろ行きましょうか?」
しのぶちゃんが、無理に止めても無駄だと判断したのか「遅れちゃいますよ」と言いながらお店に脚を向ける。
「不死川さん、本当にありがとうございました!目付き悪いですけど、根はいい人なんですね?ニコ」
悪気はない。
だけど、不死川さんの額に青筋が立つ。
ビキッ
「てめェ…人が親切に助けてやりゃァ、なんだその言い方はァ!?殺すぞッ!!」
「不死川、抑えろ!決して陽奈子は悪気がある訳ではないぞ!」
煉獄さんが抑えてくれてるうちに逃げるようにお店に逃げ込む。
「ふぅ、不死川さんも喧嘩っ早いところ、直してくれるといいんですけどね。」
「私、何か気に触ること言ったのかな…?」
しのぶちゃんは困った顔をする。
「(本当に悪気があった訳ではないのでしょうか?)まぁ!自覚がないんですね、なんだか陽奈子さん、可愛いです」
自覚がないと言われたが、当の本人は気付いていない。
「?か、かわいいの?よくわかんないけど、ありがとう…」
「さぁ、今日も頑張りましょうね!」
先程あんなことがあったのも、すぐ忘れてしまったかのように、仕事に取りかかる。
あんなことでへこたれている場合ではない、1日でも早く戦力になりたいと思うのだった。
お店の準備をしていると、陽奈子からしのぶちゃんに「お願いしたいことがあるんだけど…」と言う。
「しのぶちゃん、あのね…すごく気が早いかも知れないのだけれど…」
「はい?どうしました?」
「あ、あの…ドリンクの作り方を教えて貰いたくて…まだ入って2日目だけど、やらせて…貰えるかな?早くみんなの力になりたくて」
と、少しもじもじしながら話してみる。
少しではあるが、基礎的な知識は身につけて来たので、ド素人と言うわけではないつもりだ。