第12章 緊張と白銀
「もちろん期限は付けさせてもらうよ。2年それ以上は認めない。その期間で本当にお互いが結婚相手に相応しいか見極めてもらう。異論はあるかな?」
「ありません。ですが…僕は、陽奈子さんと結婚を前提にお付き合いさせて頂いてるつもりです!陽奈子さんは運命の人だと思っています。僕に…初めてのものをたくさんくれます。今まで僕は女性を愛することがよくわかりませんでした。ですがそのことを…この高鳴る感情が何か教えてくれたのは陽奈子さんです。僕はもう他の女性なんて考えられません、生涯愛し貫く人は陽奈子さんただ一人です!」
「杏寿郎…」
気付けば陽奈子の手を握り締めていて、視線を合わせれば頬を赤く染め、その瞳にはうっすら涙が浮かんでいる。
だが、はっと我に返って思い返す。俺は今…とんでもないことを言ってしまったのでは…?
「あら~やっぱりいい男♡プロポーズみたいね!」
嬉しそうなお義母さんの側で、お義父さんは思考が止まっているようだ。
今のは勢いで言いすぎてしまった…と思いながらもこれは本心、撤回するつもりはない。
「ご、ゴホン。あ、ありがとう…杏寿郎くんの本音が聞けてよかったよ。でも…結婚の話は順を追って、でもいいかな?」
「す、すみません…」
「さて…じゃ話もまとまったことだし、一杯やるか!母さん頼むよ。杏寿郎くんは飲めるよね?」
一区切りついたところで、お義父さんが盃を交わそうと準備を頼めば、陽奈子もお義母さんも「昼間から…」と呆れた様子だった。
この後宇髄達と合流の予定だったが、少しくらいなら…
「杏寿郎、無理しなくていいんだからね?」
「うむ!問題ない!それにお義父さんと腹をわって話せる場でもある。少しくらいなら飲んでも大丈夫だ、宇髄達には一言連絡を入れておこう」
この後の話をしていると玄関からバタバタと足音が聞こえて、勢いよく襖が開かれた。
スッパーーーンッ
「姉ちゃん!!!」
「い、郁茉!?ちょっと入るときは声かけな」
がばっ
「姉ちゃんが帰ってくるって聞いて嬉しくて!部活終わって走って帰ってきた!……で、あんたか…姉ちゃんの彼氏は!?」