第11章 鍵とサンタ *
情事後、後処理を済ませると気持ちよかった、と伝えるよう軽くキスをしてベッドに寝そべる。
「酒の力というものは、恐ろしい程に人を変えてしまうものだな…でも、積極的な陽奈子もたまにはいいな」
「クリスマスだから、頑張りました…お酒の力を借りたって言うのもあるけど!……たまになの…?さっきの杏寿郎可愛かったからまた見たいな…」
毎回攻められる訳には行かない。男としてそこは譲れない…が、あれはあれで毎回されてもいいかもしれない。
ピロートークもそこそこ、話は変わって挨拶のことになった。
「うちはどうかな~…お母さんはそんなに厳しい人じゃないけど、お父さんは頭堅い方だから簡単には許してくれなそうかも…普段はふざけてるんだけど、こう言った話となるとなぁ…」
「それでも俺は絶対に認めてもらうまで諦めないぞ!なんとしてでもお義父さんに認めてもらう!…とは言ってみたが、やはり初めてのことだから緊張はするな」
「私だって、杏寿郎をちゃんと紹介するの緊張するし…それよりも杏寿郎のおうちに行くのが心配だよ…」
確かにうちの方も一筋縄では行かないだろう。
煉獄家を背負う父上が簡単に許してくれるなど思っていない。それでも認めてもらえるまで簡単に引き下がらない。俺の本気をきちんと理解してもらえるまでは…
「そういえば、陽奈子のお義父さんはどんな人なんだ?」
陽奈子の家族写真を見たことはあったが、皆で写真に納まっているものは一枚もなくお義父さんを見たことがなかった。だからどんなお義父さんなのか気になった。
「う~ん…一言で言えば、野生の熊…ってとこかな?」
「は……熊?それはどういう意味なんだ…」
「お義父さん無駄にムキムキなんだよね…昔空手やってたみたいで、今もその名残なのかトレーニング毎日やってるみたいなの。」
その言葉を聞いて、想像するだけで青くなりそうだ…
(俺は、野生の熊のような人を相手にしなくてはならないのか…いや、そんな弱気では陽奈子のことを守れん!熊でも、虎でもなんでもかかってくるがいい!!)
気持ちを落ち着かせつつ、何か策を練っておくべきか…と考えるのだった……。