第11章 鍵とサンタ *
「合鍵なんだ、俺の部屋の。まだ先でもいいとは思ったんだが、俺が待てなくて…こんなことを言って困らせてしまうかもしれないが陽奈子さえよければ、俺と一緒に暮らさないか…?」
「同棲って、こと…?」
「うむ。同棲をすれば、この間のように会いたくても会えない、寂しい思いを…」
陽奈子の顔がぱぁっと明るくなっていく。俺が言い終わる前に腕を回されぎゅうっと抱き締められた。
「全っ然困らないよ!杏寿郎、すごく嬉しい!…うん、うん!!しよう、同棲!!私も一緒に、いたい…」
「そ、そうか!それはよかった。そんなに喜んでくれて俺もすごく嬉しい…」
再び視線が絡まれば、顎を引き寄せ口付け……ようとすると「待って!」と制する。いい雰囲気だったのに…少し不服に思っていると真面目な顔でちょこんと正座する。
「それなら…きちんとご両親に許可を取ってからの方がいいと思うの。そういうのって筋を通すものじゃないかな?」
「うむ!俺も同じことを考えていた、大切な娘さんだからな!それなら話は早い方がいいな。年末年始は休みがあるんだったな?」
「うん、31日から3日まではお休みだよ。」
「あ…そういえば宇髄達と年末年始でウィンタースポーツをしに行こうと約束をしていたな…ふむ、どうしたものか…」
「それならうちの実家の方に来ればいいんじゃない?挨拶と遊び、両方できちゃって一石二鳥だよ!」
ピースをして一石二鳥と言う陽奈子だが、ご両親への挨拶と遊びを一緒にするのは果たしてどうなのだろうと思うところはあるが…
「君の実家は雪国と言っていたな。いいのか?挨拶と一緒でも…」
「楽しいことはみんなで共有したいからね。それに初めて行くところなら地元に詳しい人がいた方がいいでしょ?案内してあげる!」
結局、挨拶と遊びがセットになってしまった。
宇髄達に連絡を取って事情を説明すれば、地元をよく知ってる案内がいた方がいいな!と賛成してくれた。そしてもちろん、それぞれの恋人も引き連れていくことに……
「うわぁ~、まきをさんも玲愛ちゃんも来るんだね♡楽しみだな!どこに連れていこうかな~…」
案内役を買って出た陽奈子は嬉しそうに缶チューハイを一口飲む。