第11章 鍵とサンタ *
~煉獄side~
事前に調べていたクリスマスのイルミネーションが見られる場所へ来ると、予想していた以上の嬉しいリアクションをしてくれる。
「うわぁっ!!すごい!すっごく綺麗…杏寿郎、連れてきてくれてありがとう。こんなに綺麗なところ一緒に見れるなんて、本当に幸せだなぁ……あ、一緒に写真撮ろう?」
目をキラキラと輝かせて嬉しそうに携帯を取り出して、互いの距離を縮めるとシャッターを切る。
すると目の前にふわりと白いもの降ってきた。
「わ…雪だ。ふふっ、ホワイトクリスマスになったね…?」
「そうだな。とても特別な感じがする…綺麗だな。」
肩を抱けば互いに見つめ合い、誰もいないその場でそっとキスを交わし微笑みあった。
陽奈子の家に行くと買ってきた酒や料理をテーブルに並べる。飲むのが少し心配だが…陽奈子も「杏寿郎と一緒に飲んでみたい」と言っていたので陽奈子が自分で選んだ酒を目の前に置く。
「では、乾杯!」
「メリークリスマス!」
小さく乾杯をするとチューハイに口をつける。
この間のことがあったのであまりぐびぐびと飲まないよう制すると「う、はーい…」と苦笑いをしながら少しずつ酒を口に含んだ。
暫くして陽奈子が思い出したように立ち上がり、キッチンからケーキを持ってきた。
「そう言えば、陽奈子が予約してくれたんだったな?ありがとう!」
「そ、それなんだけど…実はサプライズで私が作っちゃった。嘘付いてごめんね?でも喜んで貰いたくて…」
作ったというそのケーキは売り物のようで驚いた。それに、忙しくて疲れているはずなのに俺のために時間を割いて手作りしてくれたなんて…。
「陽奈子…君のそういう気持ちが本当に嬉しい。疲れているはずなのに、ありがとう!…だが、食べるのが勿体ない気がするな…」
「えー、折角作ったんだから食べてくれなきゃ困るよ」
「むぅ……では、少しわがままを言わせて貰おう…食べさせてくれないか?」
クリスマスだから、と少しばかり甘えてみたくなった。さて、どう反応してくれるのか?
「いいけど…杏寿郎なんか可愛いね!甘えん坊…?」
もう少し恥じるかと期待したが、逆にくすっと笑われ可愛いとまで言われる始末…、最近の陽奈子は俺への返しが上手くなってきた気がする。