第10章 つどい
~煉獄side~
久しぶりに陽奈子と過ごした次の日、現場での仕事を終えて会社に戻ると、今日は別の現場だった宇髄が声をかけてきた。
「よ~ぅ、煉獄!昨日は冨岡と大分盛り上がってたな。」
「うむ!冨岡はまだ陽奈子のことを諦めていないみたいだから、釘を刺しておかないとな…そういう宇髄は、なんだか肌艶がいつもよ」
「煉獄さ~ん!宇髄さ~ん!はい、これ給与明細書です!お疲れ様です、どうぞ♡」
俺の言葉を遮るように、甘い声の主に話し掛けられた。
「うむ、ありがとう!」
「おー、さんきゅ。」
給料も入ったことだ、陽奈子のクリスマスプレゼントをそろそろ用意しておこうか…そう考えていると、後ろから聞き慣れない呼び名で百瀬少女が呼び止めた。
「さねみん♡はい、どうぞ♡」
「は……!?」「むっ…!?」
"さねみん"と呼ばれる主を見れば、顔を青くして固まっている。不死川と百瀬少女はそんなに親しい仲なのか…?
「…お前!会社でそう呼ぶなってあれだけ…」
「いやいやいやいや!!お前らもしかしてそういう関係だったのか!?なんだよ、早く言えよ~!」
百瀬少女が「ごめんなさ~い、つい♡」と舌をぺろっと出して謝っていると、宇髄がニヤニヤと近付いて不死川の肩を組む。その声に気付いた他の社員もわらわらと不死川達を取り囲む。
「抜け駆けっスか!?いいな~、不死川さん!こんな可愛い彼女とか最高じゃないっスか~!」
「全然気付かなかったすよ~!え、何時から!?どっちからなんすか?」
皆が質問責めにしているなか、俺は状況を把握出来ていない。どういうことだ?と宇髄に聞けば「どう見てもあいつらデキてるだろ、まさかこんな身近に作ってたとはな」と言われた。いつの間にそんな仲に…
「よもや、そうだったのか!?全く気が付かなかったぞ…不死川、おめでとう!百瀬少女を幸せにしてやるんだぞ!」
「…う、うるせっ!お前らもう黙れェ!!おい、玲愛帰るぞォ!」
先程まで青ざめていた顔を今度は真っ赤にして、不死川が百瀬少女の腕を掴んで会社を出ようとする。が、それを許さない奴が一人。
「おい、ちょっと待てよ。よ~く聞かせてもらおうじゃねーの、2人の馴れ初めを…な?」
その後「酒のつまみには最高だな!」と上機嫌な宇髄と社員数人に囲まれ、不死川達は根掘り葉掘り聞かれることとなった。