第10章 つどい
家に着くと、この間出したこたつのスイッチを入れてそこに陽奈子を座らせる。
「まだ部屋が暖まるまで時間がかかるから、とりあえずこたつで暖まっていてくれ。温かいお茶を入れてくるから」
その言葉に「私も手伝うよ!」と立ち上がろうとしたがそれを制して、座っているように!と視線を送れば渋々とこたつに潜り込んだ。もぞもぞと動いていて、なんだか猫のようで可愛いな…と思いながら、キッチンへ行ってお湯を沸かしはじめた。
お茶を飲みながら、陽奈子は今日綾少女に会った話を楽しそうに話してくれた。
「でね、綾ちゃんてばずっと質問してくるんだよ?あれから煉獄さんとはどうなったの!?クリスマスは一緒に過ごすの?!とか……あ、クリスマス!!」
「そうだったな。俺も君の話に夢中になってしまって忘れていたが、そっちが本題だったな。シフト表は今持っているか?」
シフト表を鞄から出してテーブルに広げる。どれどれと目を通すと、やはり休みがまばらで連休はない。それにクリスマスイヴも当日も出勤になっていた。
「この日はどうだ?仕事終わりにでも、イルミネーションを見に行くのはどうだろうか?」
「わぁ!イルミネーションかぁ…うん!そうしよう!杏寿郎と初めて過ごすクリスマスだから、特別な時間にしたいな…」
その言葉に胸の奥がぎゅっとなった。「俺もとても楽しみだ、思い出に残る時間にしよう」と伝えると、そっと陽奈子の唇にキスを落とす。
「ん……ふふっ、久しぶりな気がする…ちょっと恥ずかしい、ね?」
「俺は恥ずかしさよりも、嬉しい方が勝っているが?」
そう言って笑い合えば、再び唇が重なった。
何度も角度を変えながら、少し深めのキス。
互いを求めるかのように、深さが増していく口付け…
久しぶりに陽奈子の唇を堪能したい所だが、これ以上キスをし続ければ自分の欲望を抑えることが出来なくなりそうだ……
理性が崩れる前に唇を離すと、頭をポンポンと撫でて自ら距離を取った。
ふと、時計に視線をやると23時近く。
「こんな時間になってしまったな!まだギリギリ終電に間に合うだろう、送ってい」
「帰りたく、ない」
身体が陽奈子を求めてしまう前にそれを誤魔化そうと、時刻を確認していると消えそうな声が聞こえた。いつの間にか後ろから抱き締められていた。