第10章 つどい
~夢主side~
新店舗の掃除を一通り終えた後、思ったより早く終わったからみんなと別れて綾ちゃんの職場へ向かった。本当は駅で待ち合わせだったけど、私が行った方が早いと思う。
綾ちゃんは和菓子屋さんで働いている。本当に和菓子が大好きで、語りだしたら止まらなくなる。特に餡子の話となれば綾ちゃんの右に出るものはいないだろうってくらい…もう餡子博士だよ。
綾ちゃんの職場へ向かう為に電車に乗り込み、携帯を見ると杏寿郎からメールが2通着ていた。1通は大分時間が経っていて、もう1通は数分前。それに気付くと若干急くようにメールを開く。
『今日、少し会えるだろうか?』
『さっきのは忘れてくれ!忙しいと思うが、体調崩さないようにな!また連絡する』
その内容を見て深い溜め息が出た。数分前に確認していれば、もしかしたら少しだけでも杏寿郎に会えたかも知れないのに…「私のバカ」と心のなかで呟きながら、最後の文面に心がじんわりと暖かくなった。
綾ちゃんのお店に着くと、ガラス越しに覗いてみる。
ふと、なんだか見覚えのある姿が2人……いや3人?
「え…?不死川さん……と、百瀬さん!?……それと…ま、まきをさん!?どういうこと!?」
お店の中で何やら話し込んでいる。この状況は何なのかと考えてみるけど、全く検討がつかない…
もうここは思い切って聞いた方が早い、とお店へと足を踏み入れた。