第10章 つどい
~煉獄side~
冨岡のところに一緒に行ったのを最後にもう2週間陽奈子に会えていない。新店舗のオープンで忙しいのはわかっていたし、一生懸命に頑張っている陽奈子の邪魔をしたくない。だから「会えない時は、会えることを楽しみにしていよう!」と言ったはいいのだが………俺の方が……会えなくてどうにかなってしまいそうだ……。
「はぁー……」
会社に戻り、ロッカーの扉を閉めながら会えない寂しさでつい深い溜め息をついてしまう。
「辛気くせーなァ、やめろや。こっちまで気分が落ちる」
「…あぁ、すまん。……そういう不死川はなんだか嬉しそうではないか?」
若干、表情が明るく見える不死川の顔が気になったが「べ、別になんでもねェよ、じゃぁな!」と勢いよく音を立ててロッカーを閉めると足早に会社から出ていった。
「妙に急いでるなー…なぁ、あいつ最近帰るの早くねーか?…あ!!ひょっとして女か……!?そいつは面白ぇことになりそうだ…ニヤニヤ」
「宇髄は…人の色恋沙汰が本当に好きだな。」
「人の話って面白ぇじゃん?……そう言うお前は不死川と違って落ちてんな。会えなくて寂しいのは分かるけど、影で見守ってやるのも男ってもんだろ」
宇髄が俺に肩を回して「会えなかった分、あっちの方は盛り上がるぞ~。ド派手にな!」と口角をあげ不適な笑みを浮かべてると、ひらひらと片手を上げて帰っていった。
「(あっち…?…あっちとは、なん…だっ!?な、何を考えているのだ!!全く…宇髄はすぐにそういうことを言ってくるから困ったものだ。……いや、俺もすぐにそういうことを考えてしまうから同類か……はぁー……そんなことを考えていたら余計に会いたくなってしまった…。)」
今日、少し会えるだろうか?と送った返事が来ているかと携帯を見るが、やはり数時間前から返信はなかった。
連絡は毎日取っているが、やはり忙しいから返信は遅めだ。仕事を頑張っているのだろう…
会えない寂しさを紛らわすため「たまには一人でどこかに飲みに行くか」と小さく呟いて会社を後にした。