第10章 つどい
~夢主side~
あれから2週間。
蜂蜜も決まって本格的にこの内容でお店に出そうと、オーナーに報告するとすんなりとOKを出して貰えた。
その話を聞いていたしのぶちゃんが後ろから「よかったですね!よく頑張りましたね」と褒めてくれた。私より年下なのに、なんだかお姉ちゃんに褒められたような気持ちになって心がじんわりと暖かくなる。
今度は蜜璃ちゃんが後ろから抱き付いて話し掛けてくる。
「決まってよかったね、陽奈子ちゃん♡もうすぐオープンだし、段々と忙しくなって来たね~!…忙しくなっちゃうと、煉獄さんにあまり会えなくなっちゃうね……やだ、なんだか私の方が寂しくなっちゃう…」
だんだんと声のトーンが低くなる蜜璃ちゃんに笑顔で「大丈夫だよ。少し寂しいけど…頑張ろうね!」と答えれば瞳をうるうるさせて「陽奈子ちゃ~ん、きゅんとしちゃった♡」再びぎゅっと力を込めて強く抱き締めてくれた。
「まぁ、すぐ近くにいるじゃないですか。最後の別れみたいなこと言ってないで、さっさと準備しますよ?」
確かに最後の別れなんて訳じゃないけど…
でも…ここ1週間でぐっと忙しくなって、杏寿郎と最後に会えたのは2週間前。杏寿郎はちゃんとわかってくれてて「会えない時間は、会えることを楽しみにしていよう!頑張るんだぞ!」と言ってくれてたけど、やっぱり会えないのは寂しい。でも仕事だし、将来の夢を叶えるためにも今すごく貴重な経験させてもらってるから、このチャンスを活かさなきゃ…!寂しいなんて言ってられないよね。頑張らないとっ!!
休憩の時間になると、綾ちゃんからメールが来ていることに気付いた。
『今日会えるー?』
今日は確か、お店が終わったら新店舗の掃除だったよね?う~ん……『遅くなりそうだけど、それでも大丈夫ならいいよ!』っと。
送信を終えるとホーム画面へと切り替わる。
その画面を見つめるとつい頬が緩んでしまった。
画面に映るのは2人で撮った写真。杏寿郎とお付き合いが始まったあの夏祭りの日に「記念として」と撮っておいた。もちろん、杏寿郎の携帯の画面も同じ写真にしてくれている。携帯の中の2人は初々しさが滲み出てる。
次に会えるのはいつになるかな…?
携帯を握りしめて、今度会えたら嬉しくて勢いで抱き付いちゃうかも…と少し大胆なことを考えると顔が熱くなった。