第9章 ハニハニ *
ベッドへ倒れこむと、どちらからともなく唇が軽く触れる。
「…す、すごかったな……あんな体勢初めてだったが…すごく気持ちよかった…」
「…う、うん……恥ずかしかったけど、気持ち…よかった、ね…」
お互い初めての体勢に少し驚きと恥ずかしさはあったが、すごく気持ちがいいものだとわかった。またしてみたいと密かに思っていると、ふと思い出したように陽奈子が声をあげる。
「あぁっ!結局……蜂蜜、決めそびれちゃった……どうしよう杏寿郎、蜂蜜もうほとんどないよ…義勇さんになんて言えばいいのー!?」
「…す、すまん。出来心とは言え、度が過ぎたか…だが、少しなら余っているから今からでも遅くはないのではないか?」
その後、残った蜂蜜でなんとか利き蜂蜜を試して、どの蜂蜜にするか決まった。
後になって陽奈子が「初めから目隠しなんてしなくてもよかったじゃ?」と言っていた。確かに…目をつむればいい話だ。これは…もしや冨岡があの姿を見たかっただけなのでは…!?
正直、あの時冨岡に嫉妬したが……最終的にはいい思いが出来たので、感謝をするべきか。と心のなかで呟いた。
後日、冨岡のもとへ陽奈子と一緒に向かう。
やはり、陽奈子に目隠しをさせてことがどうも引っ掛かったので念のため動向したのだ。あれは絶対にあいつ自身が見たくてやったことだろう、と…
「義勇さん!この間蜂蜜ありがとね!お陰でどうするか決まりましたっ!」
「よかったな。それに……煉獄といい思いが出来たようで何よりだ」
そう言って不適な笑みを浮かべると、厨房へ戻っていった。きっと俺と陽奈子があぁなることがわかっていたのだろう…だから蜂蜜を持たせたのだ。あいつは…侮れんやつかも知れん……
冨岡の発言に陽奈子は顔を真っ赤にさせて「ば、バレてるっ!!なんで!?」と慌てふためいていた。