第9章 ハニハニ *
「それなら、冨岡さんに相談してみてはどうでしょうか?新メニューも一緒に考えて下さいましたし、きっと何かヒントを貰えると思いますよ」
「そうだね、義勇さんに相談してみます!」
今日連絡してみようかなと、考えながらお店の準備を始めた。
次の日、『頼みたいことがあるの』と昨日のうちに連絡を入れておいたから、出勤前に義勇さんのお店に顔を出す。
がらっ
「義勇さーん、おはよう!早速、お願いがあるんだけど…」
「なんだ?煉獄から俺に乗り替える気になったか?」
顔色一つ変えずに言ってくるから本心が読めない。だけど、乗り替える気なんてさらさらないから「乗り替えません!」とすぐに否定して本題に入った。
「義勇さんって色んな業者さんとやり取りしてるでしょ?だから、蜂蜜のサンプルとかって貰えないかなって…?」
「蜂蜜…?あぁ、新メニューのことか。それなら思い当たる業者がいるから聞いてみよう」
察しがいい、さすが義勇さんだ。
すぐに連絡を取ってくれて、数日でサンプルをいくつか持ってきてくれることになった。
義勇さんにお礼を言って、小走りでフラムに向かった。
それから2日後。義勇さんから「サンプルが届いた」と連絡があった。
お店が終わった後に、その蜂蜜を使って義勇さんと一緒に試作をすることになった。いつもは義勇さんのお店だけど、今日はフラムでやることに…
「合いそうな種類をいくつか選んでおいた。それと蜂蜜は貴重なものだから、サンプルで貰えたのはこれだけだ。」
そう言ってテーブルに綺麗な鼈甲色をした小瓶を3つ並べていく。どれも微妙に色が違う。
「わぁ!ありがとう!大事に使わせてもらいます!!」
早速レシピを見ながらフレンチトーストを作り始め、一番合いそうな蜂蜜探しを開始する。
「よし、出来た!まずは…蜂蜜の味を確かめてみた方がいいかな?」
「そうだな。まずは素材の味をしっかりと舌に覚えさせ、それから料理の構成を練るのがいいだろう」
言われた通りにまずは蜂蜜だけで食べてみることに。
それぞれ小瓶にラベルが貼ってあり、種類の名前が書かれていた。