第9章 ハニハニ *
~夢主side~
お互いに嫉妬して"証"をつけ合ったあの日から数日間、首筋に残ったそれを隠すのに必死な日々を送っていた。
しのぶちゃんにも蜜璃ちゃんにも、初日にばれちゃったけど…
コンシーラー使って頑張って隠した時間はなんだったのか……
「やっと薄くなって、わかりにくくなってきたよ~…もう!見えるところにつけすぎなんだから……」
一人呟きながらロッカーに付いている小さめの鏡を見ながら首筋をチェックする。今日はコンシーラーで隠している時間がなかった為、薄手のハイネックを着てきた。夏場だったら暑くて耐えられないけど、今はもう10月の半ば。今日は雨も降っていたから、ちょうどよく過ごしやすい。天候に感謝しつつ、更衣室から出て仕事へ向かった。
「あ、陽奈子さん。先程オーナーに言われたのですが、今日からドリンクを全て陽奈子さんに任せてみよう、とのことですよ?よかったですね。あ、今日はハイネック。」
「消してる時間なくて……て、えっ!?い、いいの!?!?嬉しい…が、頑張りますっ!!」
少し前からアオイちゃんと一緒にドリンク作りをさせてもらっていたけど、一人で任せてもらえるようになってすごく嬉しい…その反面、緊張で若干汗が滲む。
「そんなに固くならなくても大丈夫だよ~♡皆でカバーするから安心してドリンクに入ってね?」
「蜜璃ちゃん…ありがとうっ!!すごく心強いです!」
そんな話をしていると奥からのしっとオーナーが出てきた。
「緋里、ドリンクの件任せたぞ。それでその後、新メニューの方は進んでいるか?」
「はい、頑張ります!えっと、フレンチトーストのレシピは大体決まったんですけど、後は蜂蜜の種類をどうしようかと……」
1ヶ月ほど前に新メニューを「フレンチトーストでいきたい」と話をしてOKを貰ってから、少しずつ進めていた。だけど、まだ蜂蜜の種類で悩んでいた。
蜂蜜にはいくつか種類がある。蜜のもととなる花は色んな種類があって、花蜜の種類によってはちみつの香りや色、味は変わってくる。
だから一番フレンチトーストに合う蜂蜜選びで悩んでいた。