第8章 気持ち
少々強引にだったが、互いの気持ちを知ることが出来てた。また陽奈子との絆が深まった気がした。
重ねていた唇が離れると、安心したかのように陽奈子が倒れ込んでくる。
「はぁ~、なんか…ほっとしたら……急に、眠くなってきた……」
「よもや!?ここまで来てお預けとは有り得んだろう!?」
と、体勢を反転させれば、陽奈子はすでに気持ち良さそうに眠っていた。
「…ほ、本当に寝てしまった………あの流れならば続きをするだろう…全く、次は手加減しないからな」
そう言って苦笑しながら、規則正しい寝息を立てる陽奈子の頭を撫でた。
休み明け出勤して、俺は驚いた。
「これ、食べてください♡あ、そうだ!絆創膏持っていって下さいね?よく怪我されるみたいだから…私、心配ですぅ~!」
「や、やめろッ!俺に構うなァ!」
百瀬少女に言い寄られている不死川の姿。
宇髄に何がどうなったのか聞いてみると、涙を浮かべながら説明してくれた。
「ぶっ、くくっ、…お前らが帰った後、玲愛ちゃんが泣いちゃってよ。それを不死川が慰めてたら、コロッといっちまったみたいだぜ?玲愛ちゃん、自分で言ってたけど優しくされるとすぐ好きになるんだとよ!あー、あれは面白ぇわ。しばらく笑ってられる…ぶはっ!」
「な、なるほど…む!?では、百瀬少女は俺を好いていたのか!?!?」
そう言えばため息混じりに「ホントに鈍すぎ」と宇髄は頭を抱えた。
「あれ?そーいやお前がハイネックなんて珍しいな?いつもVネックだろ?」
突然、宇髄に突っ込まれ慌てていると何かに気付いたように「盛り上がったみたいで何よりだ」と、俺の肩に手を置いて自分の席に戻っていった。
なんでもお見通しだな…流石にこれだけ残っていては周りの目もあるからな。
首もとに、手を当てながらあの日のことを思い出す。
嫉妬されるのも悪くない、と。