第8章 気持ち
「あの少年にかっこいいと言ったり、身体を簡単に触らせたり…俺はやきもちを妬いている」
「ふぇっ?」
愛撫しながらそう伝えれば、陽奈子の口から間抜けな声が上がり、身体を少し起こして目を見開いた。
「や、やきもちって…!!杏寿郎も…嫉妬…して、たの?!」
「(…も?)当たり前だろう。嫉妬深い男は嫌われると言われたが、そんなことはもうどうでもいい。他の男に君の身体を触られる方が嫌だ…君はあの少年に身体を触られても、何も思わなかったのか?」
そう聞きながらまた首筋に舌を這わせる。
鎖骨あたりに到達すれば、そこに自分の物だと言わんばかりの赤い証を散らしていく。
「んっ、…触って、いいのっは、きょじゅろだけっ、だよ…でも蒼ちゃ…そんなつもりじゃない、と思う……ち、ちょっ、み、見えると、ころはっ…だ、だめっ!」
「あの少年を擁護するのか…?それにこれは誰にも手出しさせない為につけるのだ。見えなければ意味がない」
鎖骨や首筋にちり、ちりっと赤い証を付けていく。
すると陽奈子がそれを止めるように俺の顔を掴む。
ぐるんっ、 どさっ
気付けば視界は反転していて、今目の前にあるのは陽奈子の少し怒った顔と天井。
一瞬何が起こったのかわからなかった。
「わ、たしだって!!やきもち…妬い、てたんだからね!!」
仕返しと言わんばかりに陽奈子からキスをしてくる。キスをしてくることなんてほとんどなかったから嬉しいが、たまにしてくれる時よりも…艶っぽいキス。
これも酒のせいなのか。俺も酔っているからそう感じているだけなのか…
「ふっ…はっ……はぁ…ん」
「んんっ…ふぁ、ぅんんっ」
くちゅと水音が響き渡る。
その唇が徐々に下へ行き、俺がしたように陽奈子も首筋や鎖骨に赤い証を散りばめる。
「百瀬、さんにっ、おべんと…なんかもらっちゃう、し……簡単に、触らせ、っるし…名前、だって…いつの間にかきょじゅろって呼んでるし…」
「…た、確かにあの行動は迂闊だった。すまない……嫌な思いをさせてしまって…陽奈子も嫉妬してくれていたのだな…それほど好きでいてくれていると思うと…嫉妬されるのも悪くはない、な…」
俺の言葉に耳を傾けるように、陽奈子が顔をあげる。目と目が合えば、再び唇が重なりあった。