第8章 気持ち
~煉獄side~
陽奈子達の会話が気になって、打ち合わせに集中出来ない…
ふと、視線を感じて見れば陽奈子と目があった。
遠慮がちに小さく手を振る陽奈子。
あぁ可愛い…可愛いすぎる!!あんな顔を他の男に見せないでもらいたい…
今日の夜はまた一緒に過ごせるだろうか?後で連絡してみよう。
そう思っていると、不死川に今度は肘で脇腹をどつかれる。
「ぐっ!!!わ、脇はやめてくれないか…息が、止まってしまう…」
「話聞いてねーのが悪ぃんだろがァ。嫉妬深い男は嫌われるぞ」
不死川が俺にアドバイスをしてくれたのか、と振り替えれば不死川は出されたおはぎに豪快にかぶりついていた。今のは空耳か…?だが、確かにこんなことばかり思っていては女々しいと思われてしまうかも知れない。気を付けなければ…
打ち合わせを終えて仕事に戻る際に、陽奈子と少しだけ話せた。
「陽奈子、今日の夜なんだが会えるか?」
「あ…、えっと。ごめんね…?綾ちゃん達と約束が…」
申し訳なさそうに謝る陽奈子の頭に、手を置いてよしよしと撫でる。
「別に謝ることはない。…楽しんで来るといい!」
「あ、ありがとう!帰ったら連絡するね?」
本当は「行かないで欲しい」と言いたかった。
あの少年もいるのだろう?だいたい今日初めて会ったが、陽奈子との距離が異様に近かった気がする。油断できんっ!!
陽奈子と別れて仕事場へ戻る途中、宇髄のスマホに着信があった。
「はい、宇髄です。…え?あ、はい…多分大丈夫っすね。はい、わかりました。伝えときます」
通話を終えた宇髄から「今日玲愛ちゃんの歓迎会だってよ」と言われた。タイミングがいいのか、悪いのか…
もし陽奈子との約束があれば断っていたが、何も予定がないから仕方がない…
あまり気乗りはしなかったが、しぶしぶ行くことにした。