第8章 気持ち
~夢主side~
急に綾ちゃん達が来たかと思えば、もう会えないと思っていた幼馴染みに再び再会できた。
聞けば蒼ちゃんは駿くんと同じ会社の同僚らしい。
駿くんは専門学校を卒業したあと、大手菓子メーカーの商品開発部に入社したと聞いていたけど…
まさかそこに蒼ちゃんが働いていたなんて…
「ホントにびっくりだよ!世間は狭いね!蒼ちゃん、おばさん達元気?」
「うん!たまに連絡取るけど、早く彼女作れってうるさくてさ」
蒼ちゃんの家は近くだったからよくおうちに遊びに行ってた。だからおばさん達もよく知っていた。
「ふふっ、おばさんらしい!」
「2人とも蒼汰の実家から家近かったんだろ?なんかいいな~、俺もそのなかに混ざりたかったなー」
「駿は都会っこだから、こっちの仲間には入れませ~ん!」
久しぶりに集まったお友達と話が盛り上がる。波長が合うな、楽しいなって素直に思える。なんだかんだ言ってこの面子が大好き。
そうしみじみ思っていると綾ちゃんが思い付いたように手を叩いた。
「そうだ!陽奈子、もう20歳になったよね!?折角みんな集まったんだからどっかでご飯食べようよ!お酒でも飲みながらさ~!」
「綾の場合は酒だろ…ホントにこいつ酒豪で困る。絶対こいつ年齢サバ読んでるって!」
前に聞いたけど、綾ちゃんすごくお酒が強いらしく、20歳のお祝いに義勇さんとお酒を飲んだときに、義勇さんのこと潰しちゃったんだって…恐るべし…
「え~、私はお酒まだいいかなー?それに…」
ちらっと横目で見ると、少し離れたところで打ち合わせをしている杏寿郎と目が合ってドキリと心臓が高鳴る。恥ずかしいさを誤魔化すように小さく手を振った。
「ははぁ~ん?そゆことねぇ~?もう可愛い奴だなー陽奈子は♡」
「えっ!?な、なにっ?!もう綾ちゃん!抱き付かないでよ!」
私の思考を読み取った綾ちゃんがニヤニヤしながら私の腰に抱き付いてくる。駿くんも蒼ちゃんも「どういうこと?」と首を傾げた。
2人には恥ずかしくて言えないかも…「初めてお酒を飲むなら、好きな人と一緒がいい」なんて……
暫くして、お店が混んで来たので綾ちゃん達は気を遣って、お店を出ていった。私は仕事に戻る。別れ際に綾ちゃんが「じゃ、夜空けといてね~♡」っとウィンクして帰っていった。