第1章 出逢い
「俺はそんなに弱くはない!日頃から鍛えているから疲れ知らずだ!!だから駅まで共に行こう、君が迷子になってしまっては大変だからな。」
「(確かに迷いそうだよね…)すみません、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げると満足げに煉獄さんは笑った
「では、これで失礼する!さぁ、行こう!」
「はい、お先に失礼します。お疲れさまでした!」
そう言ってお店を出た。
お店を出る頃には大分薄暗くなっていて、少し肌寒い。まだまだ朝晩は少しばかり冷える季節ではある
「(ちょっと寒いな)ホントにすみません、でもありがとうございます!真っ直ぐ家に帰れそうでよかっ…っぶ、くしゅん!!」
話の途中でくしゃみをしてしまった。
しかも可愛げのない汚いくしゃみをしてしまう。
「(は、恥ずかしい!)す、すみません、ちょっと肌寒いですねー!!あははー!!」
笑って誤魔化していると、ふわっと肩に何かがかけられた。
「俺ので悪いが風邪を引いてしまうよりマシだろう、汚れているが我慢してくれ。」
そういって、煉獄さんが着ていた作業着をかけてくれた。
「いやいや!悪いですって!汚れなんて気にしませんけど、煉獄さんが寒いんじゃないですか!?」
「いや、俺はこれでちょうどいい。それを着てると少しばかり暑く感じる」
そういって私が肩から取ろうとした作業着を押さえて「着ていなさい」と言った。
「すみません、重ね重ねありがとうございます」
お礼を言うと片手で作業着が落ちないよう、ひっぱって掛け直す。
すると、ふわっと煉獄さんの匂いだろうか、なんだか温かいお日様のような匂いがした。抱き締められてるみたい…
………っ!?私は何を考えてるの!!
「む?どうした?顔が赤いぞ?」
「な、なななんでもないですぅーっ!!」
「そうか?ならいいが。」
「は、はい!ところで煉獄さんはお家どの辺何ですか?(うん、誤魔化せた!)」
「俺は、この町に住んでいるぞ!ちょうどフラムの近くだな」
「へぇー、フラムの近くなんです………えっ!?逆方向じゃないですか!!わぁー、ホントに申し訳ないですー!!」
まさか近くに住んでいるとは…そんなことを思っていると、横からくつくつと笑い声が聞こえた。
「くっくくっ…君はコロコロと表情が変わるんだな、見ていて飽きない」