第8章 気持ち
~煉獄side~
自己紹介を終えるとミーティングが始まった。
今現在で各現場がどの程度進んでいるかの把握し、今後どう動いていくかなど話し合う。
「宇髄、お前の所はどうだ?確か…フラムだったか?」
「はい、現時点では狂いなく進んでいます。このまま行けば工期より早く終わりそうです」
皆がその言葉を聞きながら自分達のノートに書き込んでいく…
と、隣の百瀬少女がおろおろしていた。
「どうしたのだ?」
こそっと聞いてみれば「筆記用具を…忘れてしまいました」と少し瞳がうるっとしていた。
「これを使うといい」
そう言ってボールペンを手渡せば大きな瞳が更に開かれ頬を染め「ありがとうございます」と微笑んだ。
ミーティングが終われば、それぞれ現場へ向かう。
宇髄達と現場に向かおうと席を立つと
「あ、あの、煉獄さんっ!」
急に百瀬少女に呼び止めれ「これ、ありがとうございました」と貸していたボールペンを差し出す。
「うむ!…それは、君にあげよう」
「え…でも」
戸惑っている彼女を押しきるように差し出された手を押し返す。すると、そのペンを大事そうに抱えて「ありがとうございます」と礼を言った。
それから会社を出て、今日は陽奈子に会ったら百瀬少女のことを話そうか、少し君に似ているんだ…と考えながら現場へと向かった。
現場に着くと、そこに愛しい人が立っていた。
俺はそれに気付くとすぐに側へ駆け寄る。
「陽奈子、おはよう!今日は見学か?」
「杏寿郎!おはよっ!うん、もうすぐしのぶちゃんも来ると思う。大分進んだみたいだね~」
陽奈子と立ち話をしていると後ろから怒鳴るような声が飛んでくる。