第7章 疼き *
~煉獄side~
「あぁ、おやすみ。また…」
陽奈子と電話で話し終えると、自分があの後すぐに寝落ちしてしまったことに少し反省する。
自分で「掛け直す」と言ったのに、自慰行為で己の熱を初めて放った快感に急に身体が重くなり、目蓋が閉じてしまった。
当然、陽奈子には自慰に更けていたとは言えるはずもなく…「大丈夫?」と心配されたが…何とか、誤魔化した。
自身の後処理はしていたが、汚してしまったTシャツはそのままだったため身体を起こし、洗面台で下洗いをしながらつい、ため息をひとつ…
「はぁー…、自慰行為というものは、虚しいものだな…」
愛しい人を思って自慰に更けている時は夢見心地で、ドキドキと興奮してしまうが、それも終わってしまえば現実に引き戻され、虚無感しか残らないものだと。
陽奈子が帰省してから3日が経った。
毎日メールや電話のやり取りをしていたが、それに拍車を掛けるように、会いたい気持ちが今にも破裂してしまいそうなほど膨れていた。
やっと、明日会える!あぁ早く会いたい、会ってこの腕で抱き締めて、キスをして、触れたい…俺の腕のなかで乱れる彼女をみたい……
だが、ふと思い返す。
俺は会うたび陽奈子を求めてばかりではないか…?
己の欲望が為に陽奈子を何回も組み敷いてきた。もちろん無理矢理とは言わないが…
一応確認はしている。傷つけたくないし、怖がらせるようなことはしたくない。
そんな俺の我が儘を、何も言わず受け入れてくれる優しい陽奈子に甘えすぎていた気がする。
このままではダメだ…
陽奈子も本当は無理をして付き合ってくれていたのではないだろうか。本当に優しい子だから…
そう思った俺は、早速行動に移すことにした。
今日からしばらくは禁欲をしよう、と。
明日陽奈子に会えるが、絶対に手は出さない。
なるべく近付きすぎないよに、触れないように…
でなければ、すぐにでも襲ってしまうだろうから…