第7章 疼き *
もう少しと言うタイミングの良さだ。
一体誰か、いやこのまま無視し続ければ、快楽を獲られるだろうか…
そんなことを考えながらも、現実に引き戻されてしまえば大人しく電話に出るしかない。
と、着信先の名前に身体が震えた。
「陽奈子…!も、もしもしっ!?」
『あ、杏寿郎っ!ごめんね、返事出来なくて!今大丈夫かな?』
大丈夫ではないこの状況。
たった今電話の主を想いながら自慰に更けていたのだ。
「あ、いやっ、だ、大丈夫だっ!どうし、た?」
まだ放ってない熱のせいで声を出すのが辛い。
『んー?なんか電波悪いかな?おーい?』
寸前の所で"お預け"を食らった気分だったが、陽奈子の愛らしい声を聞くと、また自然と"雄"に手が行ってしまう。
頭ではわかっている。こんな状況で、続きをしようなどと…だが、身体が言うことを効かない。熱に煽られ止められないのだ。
くちっ、ぐちゅ、
「…っ、…ふっ…」
陽奈子に悟られないよう、ゆっくりと動かせば、また昇りつめてくる快楽。
『杏寿郎…?どしたの?具合悪いの!?』
「…ぃっ、や!だ、だい、じょうぶだっ、はっ、」
ぐちゅ、くちゅっ
悟られてしまいそうで、もうこれ以上はダメだと思った。
『でも、なんか変だよ?どした』
「…っ、すまない!またっ、後で…連絡するっ」
きっと最後まで言い終わらないうちに通話を切っただろう。だが、そんな単純なことでさえ今は考えられなかった。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちっ
「…はっ…俺は…何をっ…ぅっ、あぁっ!…出るっ」
どくん、どぴゅっ、ぴゅっ
陽奈子の着ていたTシャツにねっとりした白濁液を吐いた。
「…はっ、…はぁ、…はぁっ…」
欲望を放った後、ベッドに横たわり、肩で息をしながら冷静さを取り戻す。
「…はぁ、はぁ……俺は、…何をやっているんだ……これでは、…ただの変態ではないかっ……」
汚れていない片方の手で顔を覆い、自分でしたことに激しく後悔をした。
* * *