第7章 疼き *
~夢主side~
朝目が覚めると、杏寿郎と目が合う。
「…っお、おはよ、う。起きてたの?」
「俺も今起きたところだ。」
そう言って優しくキスをしてくれた。
昨日は結局泊まることにして、二人で朝を迎えた。
杏寿郎はお仕事があるから、早めに出なくちゃねと昨日のうちに話しておいたので、布団から出て身支度を始めようとすると
ぎゅっ
後ろから抱き締められる。
「…陽奈子っ、その格好は…今この場で襲ってくれと言わんばかりだぞ?」
「え?」
そう言われて自分の姿を確認する。
急遽泊まることになったので、杏寿郎のTシャツを借りていた。
確か寝る前は何か履いていたはずなのに、今の私の下半身は下着のみ。Tシャツがぶかふがだから、下着がギリギリ見えるか見えないかくらいの丈だった。
「わ、わぁっ!!」
ことの重大さに気付いて慌てる。
「君はホントに無防備すぎだ、全く。朝から煽ってくれるな…」
「あ、煽ってなんか!」
杏寿郎の方へ向き直ると「離したくなくなる」と優しくキスをされた。
「ん…」
暫くキスに夢中になっていると、お互いはっとして時計を見る。
「よ、よもや!こんな時間になってしまった!」
「わぁ!大変!!ごめん、急がなきゃっ!!」
夢中になりすぎて、時間を忘れるとはこの事だなっと改めて思うのだった。
私は家に荷物をとりに戻り、杏寿郎は車で宇髄さんたちを迎えに行かなきゃだから、私達はおうちの前でお別れ。
「着いたら連絡するんだぞ?あ、いや、乗り継ぎなどその都度連絡してくれ、心配だ!」
「はーい。もう、子供じゃないんだから大丈夫だよっ」
そう言葉を交わし、軽く口づけた。
「気を付けてね!お仕事頑張って」
「ありがとう!陽奈子も楽しんで来るんだぞ!」
互いに行く方向が違うので、少し声を張りながら手を振り歩きだした。