第7章 疼き *
「はぁ?許せるも何もねーだろ。そんなの勝手に想像してヌけばいい話だし。黙ってりゃいいだろ、オナニーすんのにいちいち本人に許可取んのかよお前は…」
確かに黙っていればわからんことだが…
だが、なんだか悪い気がして仕方がない。
「罪悪感が残る気が…」
「っだぁー!!もう、めんどくせぇ!!だったらAVでも見てヌきゃいいだろ?!」
陽奈子に出会う前に片手で数えるくらいだが、自慰行為はしたことがあった。そういう知識がないからか、ほとんど気持ちがいいとは思えず結局イクことは出来なかった。
「すまない宇髄、その…AVを見ても何も感じないのだ…」
「は…?うっそだろ!?お前ホントに男かよ!!信じられねー…」
呆れて何も言えないと、いう冷たい表情で俺を見てくる。
「でも、あいつとヤったことだし。それを想像すれば流石に勃つだろ、お前でも」
流石に今ここで想像してしまったら、歯止めが聞かなくなりそうなのでやめておくが、きっと簡単に身体は反応するだろう。それだけ陽奈子に脳内も身体も夢中なのだ…
「一番はやっぱ好きな女とヤるのがいいけどよ。流石に毎回は可哀相だからな。どうしてもヤりてーってウズウズすんなら、そういうときに想像してヌいてればいいんじゃね?」
宇髄は片手に煙草を持ちながら、缶コーヒーに口をつけ「お互いの為にもな」と言いながらコーヒーを口に含んだ。
それから陽奈子が帰省する日の前日になった。
互いに仕事を終えると、今日は真っ直ぐ俺の家へ向かった。
陽奈子がまた美味しいご飯を作ってくれて、それを「美味しいね」といいながら一緒に食べた。
そのあと、二人でソファに座りながら明日から帰省して過ごす陽奈子の実家でのプランを聞いていた。
「まずは、お母さんの手料理を食べるでしょー?それから…」
「陽奈子のお母さんは料理が上手だと、前に言っていたな?」
嬉しそうに俺の横でにこにこと話す陽奈子が、また可愛くて堪らないと思う。
もう何十回、何百回そう思ったのだろうか…