第1章 出逢い
「そうですね。確かに煉獄さんは子供のように何も知らないことが多いかもです。今まで体を鍛えることしか、考えられないような人ですので…もちろん、恋愛のれの字すらありませんからね。」
そう言ってしのぶちゃんは二度目のため息をついた。
「(つまり筋肉バカってことか…)煉獄さんは多分私よりも年上だよね?今時、恋愛経験ないなんて珍しいね、顔整ってるのに…」
すると、それを聞いていた蜜璃ちゃんが食い付いてきた。
「恋バナ!?私もいれてー♡なになにー?陽奈子ちゃんは煉獄さんがタイプなの?!」
「(いや、なぜそうなった!)ち、違うよ!今まで彼女いたことないって聞いたから少しびっくりしただけだよー…」
変な誤解されないように否定する
「なーんだ!私、ついに煉獄さんとくっついてくれる女の子が現れたと思ったんだけどなー、残念!」
と、少しがっかり気味の蜜璃ちゃん。
「恋はふっとしたときに生まれるものですから、まだわかりませんよ?うふふ」
「いや、うーん…確かにそうだね、わからないけど私は多分、違うと思うな…」
そんな、今日会ったばかりの人と恋愛しましょう!なんて無理な話だよ…と思いながら、自分の嫌な過去を思い出しかけた時「すまんが、食器を下げてくれるか?」と煉獄さんに言われた。
「あ、今行きます!」
下げるとき「ありがとう!」と、微笑んで私の目をじっと見つめてくる。
さっき恋バナしてたから、不覚にもドキッとしてしまう自分に少し驚いた。
「(あんな顔もするんだな…優しいお日様みたいだな)」
食器を下げ、デザートや飲み物の準備に取りかかる。
そこでしのぶちゃんが私に話しかける
「そういえば、さっきいい事!ありましたね?ニコ」
「え?いいこと…あ、午前中に話してたこと?」
そう言うとしのぶちゃんはにっこりと笑って
「煉獄さんに素敵と褒められたではありせんか!」
あ、確かに褒められたな…
でも、それがいいことなのかな?頭撫でてくれたことがいいことだったのかな?うーん…
「おーい、陽奈子ちゃん?」
「あ、ごめん!これ、持っていっていいのかな?」
どれがいいことなのか解らず、ぼーっとしてしまって、危うく仕事を放棄してしまうところだった、危ない…集中しよ。
そんな風に気持ちを入れ替えていると、蜜璃ちゃんが嬉しそうに話しかけてきた。