第6章 結び *
~夢主side~
杏寿郎と一線を越えた日から2日後。
今日はお仕事の日。
あちこち若干筋肉痛なのは、秘密にしておこう。
「おはようござい…」
「陽奈子ちゃーーーんっ!!」
朝の挨拶を言い終わる前に蜜璃ちゃんの豊満なお胸が、私の顔を埋める。
「わっ、ぷ。く、くるしい…」
「1日遅れちゃったけど、誕生日おめでとー♡」
蜜璃ちゃんの豊満なお胸で窒息しそうになり、押し返すと「おめでとうございます!」と皆から祝福の声が掛けられる。
「あ、ありがとう、ございますっ」
皆に祝ってもらうのがなんだかくすぐったい気がして、両手を胸に当てながらお礼を言う。
「あら?それは、もしかして煉獄さんからのプレゼントでしょうか?」
"それ"と私の首元を指差しながら、しのぶちゃんがにこにことこちらを見ている。それに釣られるように皆も覗いてくる。
「きゃー♡煉獄さんったら、なかなかやるわねー♡」
「そういうのはあまり良くないと思いますよっ」
アオイちゃんが顔を紅くしてそっぽを向く理由がよくわからなかった。そもそもネックレスを飲食店で付けていることがよくなかった?
「ご、ごめんね?うれしくてつい…外しとくねっ」
そう言ってネックレスを外そうとすると、しのぶちゃんに手を掴まれる。とっても嬉しそうに微笑みながら、私の耳元に鮮やかな紅い色をした唇を寄せてこう言った。
「煉獄さんと一線を越えたのでは?その"証"がよ~く皆さんに見えていますよ、煉獄さんもなかなか独占欲が強いんですね」
「っ!え、ななななんでっ!?」
なんで分かってしまったのか…独占欲とはなんのことか…ぐるぐると思考が回っていると、今度は蜜璃ちゃんが「はい、どうぞ♡」と言って可愛らしい手鏡を見せてきた。
「ここ。左の首筋のところ、上の方ね!きゃっ、ハレンチっ!♡」
そう言われ、よくよ~く覗いてみると自分では気付かないような位置に杏寿郎が付けたであろう"紅い証"が見えた。
「い、いつ!?」
きっと、私が先に寝てしまったときだろう。最中ではそんなことなかったはず…あ、やだっ!思い出したら恥ずかしくなってきちゃった…
「初々しいですね。ですが、見える位置は流石にやりすぎですので、これで暫く隠しておきましょう?」
しのぶちゃんが絆創膏を渡してくれる。
そして、黒い笑顔でにこりと微笑んだ。