第6章 結び *
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~三人称~
最初は軽く触れる程度の口付けだったが、だんだんと杏寿郎が食むようなキスをする。それに答えようと、陽奈子が小さな唇を少し開ける。
陽奈子の小さな唇が開いたのを確認すると、杏寿郎は少し遠慮がちに舌を入れて、口内をやわやわとなぞっていく。
くちゅ…
「…んんっ…はっ……ぁ…」
時々口から漏れる陽奈子の吐息混じりの声が、より杏寿郎を掻き立てる。
「…陽奈子っ」
堪らず口を大きく開け、更に舌を深く入れ掻き回す。
くちゅ…くちゅ…
「…はっん…きょ、じゅろっ…んっ…」
深い口付けの息苦しさに、杏寿郎の胸を押し返すと互いの視線が混じり合わさる。
互いに頬は紅潮し、呼吸が浅くなっていた。
「はっ…はぁ…陽奈子…、俺はこういう経験がない。だからあまり余裕がないと思う。」
本当に余裕がないのか、吐息混じりに話す杏寿郎もどこか男の色気を感じる。
「うん…」
「だが…君を大切にしたい。なるべく、優しくする…」
杏寿郎の大きな手が陽奈子の後頭部に回されると、そのままゆっくりと押し倒す。
「…うん。ありがとう…杏寿郎のそういうところ、大好き。」
そう言って微笑む陽奈子に完全に理性を崩される。
「陽奈子っ、あまり煽ってくれるなっ…」
欲望を剥き出しにして陽奈子に夢中で口付ける。
唇から徐々に移動していき、髪、額、目蓋…と色んな所へ口付けを落としていく。
その唇の愛撫は徐々に下へ降りていく。
陽奈子の首筋にかかると、杏寿郎は味を確かめるように舌を這わせた。
「…はっ、陽奈子っ…はっ…ん…」
名前を呼ぶ杏寿郎の口から、色艶のある声が時々漏れる。その声にさえ陽奈子は蕩けてしまいそうになる。
杏寿郎の手が陽奈子の小さめな二つの膨らみを捉え、やわやわと揉みしだく。
「…んっ!…ぁっ、…んふっ…」
声を押し殺すように陽奈子は自分の手で口元を押さえる。
「陽奈子…声を、聞かせてくれ…」
初めての感覚に、陽奈子が身をよじる。
「…だってっ…ん、はず、かしいよ……」
自分の口から聞いたことのない甘い声を漏らし、恥じる陽奈子の空いている手を掴み、胸に当てる。