第5章 心通う
~煉獄side~
今日は陽奈子の誕生日前日だ。
二人でデートを楽しんだ後、俺の家に来た陽奈子は"お泊まりセット"を荷解きし始める。
「なんか、この間お泊まりしたのがつい昨日のことみたいだね?」
「あぁ、そうだな!時の流れはあっという間だ。陽奈子、先にシャワーを使っていいぞ?」
先に陽奈子を風呂に向かわせる。
陽奈子が風呂に入ったのを確認すると、用意していたプレゼントをどこに置こうかと考える。
ベッドの下に置いて、後でこっそりと出そうとそこに置くことに。
しばらくすると陽奈子が上がってくる。
「お先でした、ありがとう!」
と上がってきた陽奈子の姿に目を見開く。
少し大きめのTシャツに、ショートパンツを履いている。
陽奈子の太股が露になり、少し目のやり場に困る。
「どしたの?入らないの?」
「う、うむ!俺も入ってくる!」
本人は全く意識をしていないようだ。
「(少し、無防備ではないだろうか…)」
そう思いながら、熱くなった身体をシャワーで流す。
風呂から上がり、髪を乾かそうとするとまた陽奈子が乾かしてくれた。
「いつもすまない。ありがとう」
「ううん!私杏寿郎の髪触るの好きだもん。」
そう言って嬉しそうに髪を乾かす陽奈子のひと言がまた愛らしいと思う。
乾かし終わると、既に時刻は0時を過ぎようとしていた。
「…陽奈子」
ドライヤーを片付けようとしている手を止めて、こちらを向かせる。
「なに?」
「目を、閉じて貰えるか?」
そう言うと「なんだろ?」と首を傾げながら目を閉じる
それを確認してから、そばに隠しておいたプレゼントを陽奈子の手のひらに乗せる。
「もう開けてもいい」
目を開けると同時に陽奈子の目が大きく開かれる。
「これって…」
「うむ。陽奈子、20歳の誕生日おめでとう!」
時計が0時を回ったのを確認して、その瞬間を祝う。