第5章 心通う
~夢主side~
杏寿郎に家まで送ってもらうと、別れ際がとても寂しく感じてしまう。
「…ありがと。家に着いたら連絡、してね?」
「うむ。ではまた…」
軽く触れる程度のキスをして、帰っていく姿を見えなくなるまで見送った。
次の日、出勤するとすぐに蜜璃ちゃんとしのぶちゃんから質問攻めに合う。
「陽奈子ちゃーん♡よかったねー!!どっちから!?どっちから告白したのー!?きゃー恥ずかしい!」
「もちろん、煉獄さんからでしょうか?そこは男性に言っていただかないと、ね?陽奈子さん?あ、そういえばあのあとはどこまで進んだのでしょう?ニコ」
二人の質問に顔が紅くなり、アワアワしてしまう。
「まぁ!顔が紅いと言うことは、そういうことでしょうか?ふふっ」
しのぶちゃんが何かを察したように、嬉しそうに笑う。
「も、もういいから!準備するよ、2人共!!」
誤魔化すように、2人にお店の準備をするように言った。
それから月日は流れ、私の誕生日が明日へとなったある日。
杏寿郎とはあれから週に1回はお互いに時間を作って会っていた。
会うたびに好きになっていく。
今日は杏寿郎と久しぶりのデート。
しのぶちゃんがまた気を使ってくれて今日と明日、二日間オフのシフトを組んでくれた。
ありがとう、しのぶちゃん!感謝してもしきれないよ…
そう思っていると杏寿郎が車で迎えに来てくれた。
「おはよ!杏寿郎、ありがとう!」
「おはよう!さて、行くとしようか!」
目的地は決まっていた。
私が行ってみたかった水族館。
子供の頃に1回行ったきりだったから、久しぶりに行ってみたかった。
「水族館なんていつ振りかなー?楽しみ!」
「俺も幼い頃に行ったきりだから、楽しみだ!」
そして水族館に着くと、杏寿郎が入場券を2枚買って戻ってくる。
「ほら、陽奈子の分だ!」
「ありがとう!」
「うむ、行こうか」
そう言って杏寿郎は手を差し出す。
その手に自分の手を重ね、私達は歩き出す。