第5章 心通う
~煉獄side~
抱き締め返されるとそれに答えるように、口付ける。
優しく口付けたかと思えば、今度は唇を食むように…
「んっ…きょ、じゅ…ろっ…ちょ、待って…」
一度してしまったら、もう止められなくなってしまった。
段々激しさを増す口付けに陽奈子が俺の胸を押し返す。
「す、すまない…陽奈子があまりにも可愛くてつい求めてしまった…汗も掻いているのに…」
「ううん。気にしないよ?お仕事頑張った証だしね!あ、先にお風呂入って来て?ご飯用意しとくから」
あぁ、もう俺はなんて幸せ者なのだろう…
このまま時が止まってしまえばいいものを…
そう思いながら言われたとおりにシャワーを浴びる。
風呂から出ると、陽奈子がまた「髪を乾かしてあげる」と言ってくれるのでお任せして乾かしてもらう。
陽奈子に髪を触られると、初めて陽奈子の気持ちに気付いた時を思い出す。
「はい、終わったよ!ふわふわ~!」
そう言って俺の髪をいじる陽奈子は、あの時と同じ表情をしている。
ドキリと心臓が跳ねる音がする。
「…ありがとう。」
そう言って陽奈子の手を取り、自分の方に引き寄せて軽く口付けた。
「もう、杏寿郎はいつも不意打ちすぎるよ…恥ずかしい」
「ふっ、そんなに毎回恥ずかしがっては心臓が持たないぞ?」
そんなことを話しながら、陽奈子が作ってくれたご飯を一緒に食べるためテーブルに移る。
食べ終わって、食器を二人で洗って、それからソファでまったりと過ごしていると、もう21時を過ぎていた。
「もうこんな時間なんだね。やっぱり楽しい時間はあっという間だね」
「うむ。もっと一緒にいたいが、陽奈子も明日は仕事だろう?送っていこう。」
そう言って送るために支度をして二人で家を出た。