第5章 心通う
ぽろっ
「…あっっちぃっ!!は、はぁっ!?いやいやいやいや、待て待て!いくらなんでも早すぎだろ!?お前本当はそんなに手が早い奴だったのか!?」
「手が早い?何のことだ?俺は陽奈子を泊めただけだ。他に何も…ない。」
確かに泊めただけで、疚しいことは何もしていない。
キスはしたが…それは自然とそういう流れになるものだろう。
「いや、最後の間はなんだよ!つーか、泊めたのにヤってねーのかお前らは!?いや、でも流石に早すぎるか…」
「む!?早すぎると言ったり、手を出していないと言ったり、どっちが正解なのだ?!」
どっち付かずなことを言う宇髄に少し強い口調で言ってしまう
「お前なー…正解とかはねーけどよ。好きな女と一晩一緒にいて、触れられるのに逆に辛くねーのかよ?」
確かにそう言われてみれば、陽奈子に触れれば、触れるほどもっと"その先へ"と進みたいと思った。
だが、俺は陽奈子を大切にしたい。
陽奈子の意思を、心も、身体も全て愛おしく感じるからこそ、俺の勝手な欲望で陽奈子を汚したくない。
「それはっ…確かにもっと触れたいとは思う…だが、俺は陽奈子がいいと言うまで待ちたい。"そういうこと"は互いの気持ちが合ってこそ、出来るものではないのか?」
「はぁー…お前らは本当にクソがつく程、真面目だな。お前らが幸せならそれでいいか」
そう言って宇髄は苦笑いをしながら、また煙草をふかした。