第5章 心通う
~煉獄side~
「陽奈子、鍵はポストにでも入れておいてくれ。本当は合鍵でもあればいいのだが…」
「うん、わかった!」
「すまない、送ってやれなくて…」
もう陽奈子と離れなければ行けないと思うと、急に寂しくなってしまう
「ううん、大丈夫!杏寿郎のお見送りできて、なんか嬉しいし」
そんな可愛いことを言う陽奈子を抱き締める
「あぁ…初めて仕事に行きたくないと思ってしまった…」
「ふふっ、ダメだよ杏寿郎!お仕事頑張って下さい、いってらっしゃい」
陽奈子の小さな手が俺の両頬を包んだかと思うと
ちゅっ
短めの触れる程度のキスをされた。
「よ、よもっ!!!陽奈子!!」
初めて陽奈子からされた口付けに舞い上がって俺からも口付けようとすると、それを手で阻止される。
「…むっ」
「はい、ここまで!ほら、お仕事遅れちゃうよ?」
そう言われなんだか"お預け"を食らった気分だ。
名残惜しいが、仕事に遅れるわけにはいないので、最後にもう一度陽奈子を抱き締めて「行ってきます」とひと言いい、家を出る。
仕事の休憩中に今朝陽奈子が「いってらっしゃい」と送り出してくれたことや、朝ごはんを作っていた姿など思い出してつい頬が緩んでしまった。
「で?そのニヤニヤの理由は陽奈子と上手く行ったんだな?」
宇髄が俺の横に座りながら、煙草を咥える。
「うむ、ありがとう!宇髄のお陰で陽奈子と恋人同士になることが出来た!本当に感謝しかない。」
そう頭を下げながら、宇髄に礼を言うと
「おー、よかったな!でもまだまだこれからだろ、お前らは」
「そうだな…そう言えば、昨日は陽奈子が俺の家に泊まってな!今朝は朝ごはんを作ってくれたぞ!」
また思い出して上機嫌で話すと、宇髄が咥えていた煙草を手に落とす