第1章 出逢い
「よ、よろしくお願い…します…」
あぁ、私の社会人としての道には、こんな人たちがずっと関わっていくのか…と、項垂れながらあいさつをして戻ろうとすると
煉獄さんに腕を掴まれた。
「え、あ、あの…?」
「さっきのご老人が言っていた。笑顔を忘れずに、と!」
「(え、えぇー?!あのやり取り見てたの!?褒められてニヤついてるのもだよね?!恥ずかしいー、どこにいたんだろ…)」
「そんな顔をしていては、あのご老人に顔向けできないぞ?」
煉獄さんはそう言うと、顔をずぃっと私の顔に近づけ、人差し指で私の眉間に指を指す
「女の子は笑顔でいることが一番だし、君の笑顔は素敵だからな!はっはっはー!!」
「どきっ(ち、近いっ!!)」
近くで見ると顔がすごく整っていて、目の奥に炎が灯っているかのような瞳で見つめられるとドキッとしてしまう
「なんだなんだー?初対面の子を口説く新手のやり方かー?俺にも教えろよー、煉獄!ニヤニヤ」
不死川さんとじゃれていた宇随さんが興味深々で前のめりで聞いてくる。
「口説く?なんのことだ?!俺は本心を言っただけだ!君は、笑顔でいることを忘れないようにな?」
と、言って煉獄さんは私の頭を大きな手でぽんぽんしてくれた。
まるで妹を褒めるかのような眼差しを向けて
「煉獄。お前無闇に女に触りすぎだァ、この間も誤解されそうになってたじゃねぇかよォ?俺まで巻き沿いくらいそうになったんだ、勘弁してくれェ。」
「む?!この間はあの女性が…」
「もういいじゃないですかー!陽奈子ちゃん固まっちゃってますよー!困らせないで下さい!んもーぅっ!早く注文してください!!」
蜜璃ちゃんが話を止めて入ってくれた。
「はいはい、んじゃ、俺は…Aセットの大盛に、食後にエスプレッソで!」
「ちっ、俺はCで…あと…あ、あれはあんのかよォ…?」
恥ずかしそうにそっぽを向きながら聞いてくる。
「おはぎですね?ちゃんとありますよ、不死川さんの為に作っているようなものですからね!」
「ぅ、うるせェ!!じゃ、食後にそれとコーヒー持ってこいッ!!」
あ、この人おはぎが好きなのかな?
そんな恥ずかしがることもないだろうに、と思いながら煉獄さんの注文を取ろうとすると…