第5章 心通う
~煉獄side~
陽奈子とアイスクリームを食べながら歩いていると、解けたアイスクリームが陽奈子の手を伝う
「あ、垂れちゃった!」
と、慌てて何か拭くものを探す陽奈子を見て思い付く。
すっと手首を掴み、アイスクリームが垂れた指をぺろりと舐める。
びくっ
「…ひゃっ!」
指に垂れたアイスクリームを舐めとると陽奈子が声をあげる
それが可愛く、堪らなくなる。
「きょ、杏寿郎っ!は、恥ずかしいからっ!!」
「そんなに恥ずかしがってばかりいては、この先が持たないぞ?」
少し悪戯っぽく笑ってみせると、その意味をどう理解したのか陽奈子が顔を真っ赤にする
「こ、この先って…!!杏寿郎、そんなこと言うんだ…」
「何を想像しているんだ、陽奈子?」
陽奈子の反応を見ていると、つい意地悪をしたくなる
「…っ!も、もう杏寿郎なんて知らないっ!!」
少し怒ったようにそっぽを向く陽奈子に
「ふっ、くっくく…すまない、君があまりにも可愛い反応をするから、つい」
と言うと、また顔を紅くする
「意地悪っ…」
「すまない、ほらアイスクリームが溶けてしまうぞ?」
今にも溶けて垂れそうなアイスクリームを慌ててまた口に運ぶ。
家に着き、交代でシャワーを浴びることに
先に陽奈子を入らせる。
陽奈子がシャワーを浴びている音が聞こえる。
それだけのはずなのに、落ち着かない…
いや、何を良からぬことを考えているのか!
紛らわすように、余計なことを考えぬよう、筋トレを始める。
「…ふっ…ふっ…」
がちゃ
陽奈子が風呂から出てくる音が聞こえた。
その音にぴくっと体が少し跳ねる。
「杏寿郎お先でした、ありがとう…って何やってるの?」
「む!?い、いや…筋トレだ!!」
気持ちを紛らわせるためとは言えない。
風呂上がり陽奈子は、髪の毛が濡れていて少し頬も紅くなっていた。
その姿に色気を感じ、俺の身体が熱を帯びてくるのがわかった。
「お、俺もシャワーを浴びてくるっ!陽奈子は髪を乾かしておくといい」
そう言ってドライヤーを渡す。