第5章 心通う
~夢主side~
杏寿郎がシャワーを浴びている間、髪を乾かして待つことに。
アイスクリームを舐め取られた場所がまだ熱い気がする…
先程のことを思い出し、顔に熱が集まる。
そして、杏寿郎に言われた「この先」のことを想像してしまう。
「やだっ!私は何を考えてんの!」
更に顔が熱くなり、両手で頬を覆う。
確かに、杏寿郎とは「恋人」にはなったが、初日でそんなことは多分ないだろう…
でも"そういうこと"は結婚してからと決めている。
杏寿郎だって男の人だ、"そういうこと"にもなるだろう…
だけど、自分の意思は貫きたい…大切にしたい。
そんな私を、杏寿郎は待っていてくれるだろうか…?
暫くしてお風呂から杏寿郎が上がってきた。
「あ、おかえりっ!ドライヤーありがとう」
「うむ。俺も乾かそう」
首にかけているタオルで髪をがしがし拭きながら、隣に座る。
ふわふわした金色の髪が、濡れてぺしゃんこになっていた。
「ね、杏寿郎!」
「どうした?」
きょとんとした顔が雨に濡れた子猫のようで可愛い。
「私が髪を乾かしてあげる!」
そう言って杏寿郎が持っていたドライヤーを取ると、髪を乾かし始める。
「熱くない?」
「う、うむ!大丈夫だ、心地いい」
改めて思う柔らかい髪の毛が、みるみるうちに乾いていく
「はい、終わったよ?いつものふわふわの髪に戻ったね!」
そういって髪を触ると、杏寿郎と目があった。
「…陽奈子」
いつもより低い声で名前を呼ばれ、ドキリと心臓が跳ねる
杏寿郎の手が私の頬を優しく掠める。
「キス、してもいいか?」
そう聞いてくる杏寿郎に、少し恥ずかしがりながら答える
「…したい時に、して…いいよ?」
「よ、よもっ!!で、では…」
そう言うと杏寿郎が優しくキスをしてくる
ちゅっ
離れるときにリップ音がなる
それがなんだか妙に恥ずかしい…
「陽奈子…」
また私の名前を呼ぶと、今度は唇を食むようなキスをしてくる。
「…っ!…っん…」
優しくて気持ちのいいキスだけど、このまま"先に"進むのかと思うと少し身体が強張る。