第5章 心通う
~夢主side~
「…いいよ。」
短めに返事をする。
心臓の音が杏寿郎に聞こえるのでは?
と思うくらいうるさい
「…う、うむっ!!…で、では行こうか…」
お互い変な緊張で体が強張る
杏寿郎なんてロボットみたいな動きになってる
こんなときつい「可愛い」と思ってしまう。
そんなこと本人に言えば「男に可愛いは変だぞ?」なんて言いそうだから、言わないでおこう。
杏寿郎の家に着いた
家に入ると、まず私の怪我の手当てをしてくれた。
「少し染みると思うが、我慢してくれ」
椅子に座らせて、消毒液を染み込ませた脱脂綿で擦り傷を優しく拭いてくれる。
「…っ!」
「すまない!痛かったか?」
杏寿郎にそう聞かれて、慌てて否定する
「っち、違うのっ!痛くなかったよ。ただ…」
その続きがなかなか言えない。
恥ずかしさで…
「ただ…?ただ、なんだ?」
私の顔を覗き込みながら、続きが気になるようでじっと見つめてくる。
「…杏寿郎に、触られると…なんか、びくってなっちゃ…う……」
俯いて、語尾が消えそうなほど小さくなる。
杏寿郎に視線を戻すと
「…よ…よもっ……そ、それは俺に感じ」
「違うと思うのでっ!!もう恥ずかしいからやめてっ!!」
実際、感じているかどうかなんてわからない
ただ、杏寿郎に触れられた場所は少し熱く感じる。
手当てを終えて、とりあえずの着替えを出してくれる。
「俺ので、すまないが」
と、出された服を受け取り、脱衣場を借りて着替えさせて貰う
浴衣を脱ぎ、杏寿郎の服に袖を通すと
杏寿郎のにおいに包まれた。
「(いい匂い…杏寿郎に抱き締められてるみたい…)」
なんて少し恥ずかしいことを考えてしまう。
借りた服は白いTシャツに下は紺色の短パン。
「(やっぱり少し大きいな…)」
私が着ると、袖も裾も長くなってしまう。
そのまま、杏寿郎の元へ戻ると
ちょうど杏寿郎も着替えているところだった。
「着替えた、…よっ!?!?」
見てしまった…
恥ずかしさで思わず目を反らす。
「うむ!俺も今終わるところだ!」
下はジャージを履いていたけど、上は何も着ていない状態。
その鍛え上げられた肉体にドキドキしてしまう。
杏寿郎が着替え終わると、二人でコンビニへと繰り出す。