第5章 心通う
「あぁ。やっと理解した。陽奈子を特別な女性として、守っていきたい、大切にしたい、触れたいと思う。」
「…私のことは友達としてそう思っているんじゃないの?」
そう言われ杏寿郎は少し困ったように笑う。
「友達だと思うならば、触れたいとは思わんだろう?」
陽奈子はしのぶの存在が杏寿郎にはどう写っているのか聞く
「え、だって!!しのぶちゃんとあんなに楽しそうに話すじゃん!それに…しのぶちゃんが危ないとき、すごく…大事そうに守ってたし…」
思い出すと心がぎゅっと締め付けられた。
「よもや……胡蝶のことは友達として、しか思ってはないが?友達とならば楽しく会話もしたり、危なければ守ってあげるものだろう?」
「え…じゃ、私の…勘違いだったの!?」
「何がだ…?」
訳がわからない杏寿郎に陽奈子は笑い出した。
「っふ、ふふ…あはは!なーんだ、そっか。私バカだなー、こんなにも好きなのに空回りしちゃってたみたい…」
「陽奈子…?」
笑っていたと思ったら、今度は涙が出てくる。
「私も…杏寿郎が、好き。」
涙をポロポロと流しながらそう伝えると、杏寿郎は目を見開いた。
「今、…なんと言ったのだ…?」
「え…?ぐすっ…やだ、2回も言わせないでよ…」
「もう一度……もう一度聞かせてくれ!!」
そう両肩を掴み、くわっと顔を陽奈子に寄せる。
「…きょ、杏寿郎が…好き。」
その言葉を聞いたとたん杏寿郎はありったけの力で陽奈子を掻き抱く。
「陽奈子っ!!俺も大好きだ!ありがとう!」
「杏寿郎、いっ、痛いよっ」
「す、すまん、嬉しくてつい…」
力を入れすぎてしまったことにしゅんとしていると今度は陽奈子が杏寿郎を優しく抱き締める。
「こちらこそ、私を好きになってくれてありがとう。」
その言葉に杏寿郎も答えるように、今度は優しく抱き締め返す。