第1章 特別なお菓子/リドル/甘
『結局リドル先輩の居場所わかんなかった…』
休み時間ももう少しで終わってしまう
『一回学園に戻ろうかな……』
「 !!」
『!…リドル先輩の声?』
図書館近くでリドル先輩を見つけた
近くにいる生徒の首にハートの首輪がしてある
生徒を追いかけてリドルが走り出した
『あ、待って!リドルせんぱ…っ!ぶっ!!』
いきなり走り出したは躓いて思いっきり転んだ
リドル「!?」
『あいたた……』
リドル「大丈夫かい!?」
『大丈夫です大丈夫です!それより、あの、はい!』
リドル「これは…?」
『調理実習で作ったケーキです!リドル先輩にあげたくて……わっ!』
リドルはを抱きかかえて近くのベンチへ座らせた
魔法でハンカチを濡らし、頬や膝を拭いた
リドル「気持ちは嬉しいが…怪我をされると困ってしまうよ」
『ご、ごめんなさい…』
リドル「少し鼻と膝が赤くなってしまったね。血は出ていないが後で保健室へ行くように」
『はい…』
リドル「これをボクのために?」
『はい!パウンドケーキです!上手くできたのでリドル先輩に食べてほしくて…!』
リドル「今食べても?」
『どうぞ!』
リドルはパウンドケーキを一口
リドル「………」
『あ、でも…トレイ先輩のケーキには敵いませんよね…』
リドル「そうだね…。でもこれはトレイが作るケーキとは違う、特別なケーキだ」
『特別な…ケーキ…?』
リドル「あぁ。また作ってくれるかい?ボクはこのケーキがとても気に入った」
『本当ですか…!』
リドル「もちろん。ボクは嘘をつかない」
『じゃあ次は2つ持ってこないと…』
リドル「2つ?」
『フロイド先輩にオレにも作って欲しいって言われたので…』
リドル「……ダメ」
『え?』
リドル「フロイドにはあげちゃダメだ」
『ダメですか?』
リドル「これはボクの特別なケーキだ。フロイドにはあげちゃダメだ」
少し頬を膨らませてを見た
『わ、わかりました!リドル先輩の為に作ります!』
リドル「うん、よろしい」
リドルは微笑んでの頭を撫でた
リドル「(ケーキじゃなくても、が作るお菓子なら“特別なお菓子”になる……)」