第7章 会う口実/エペル/甘
『わぁ…!綺麗!』
オンボロ寮の窓の外は雪、雪、雪
グリム「さ、寒いんだゾ!」
『冬だし雪だしね』
グリム「こういう時は……スカラビアに行って、カリムたちと遊ぶんだゾ~!」
『あ、こら!グリム!』
あっという間にいなくなってしまった
『もう……後でカリム先輩たちのとこ行かなきゃ…』
コンコンッ
『あれ?帰ってきたのかな…』
はドアを開けた
『どうしたの?忘れ物でも……あ!』
エペル「おはよう。忘れ物?」
『エペルくん…!な、何でもないの!どうしたの?』
エペル「これ、おすそ分け」
エペルの横にはダンボールが2つ
『もしかして……!』
エペル「うん、うちの実家のりんごと、リンゴジュース」
『わあああ……!!ありがとう…!エペルくんのお家のりんごすっごく美味しいもん!いいの?こんなに!』
エペル「もちろん。喜んでくれてよかった!」
何ヶ月に1回、ダンボールを持ってオンボロ寮へ来てくれる
『あ、寒いから!中入って!』
エペル「ありがとう。ダンボールはどこに置けばいい?」
『あ、じゃあ中に……私も』
エペル「いいから」
エペルに持つのを止められて中に入れてもらった
エペル「女の子なんだから、重い物は僕に任せて……ね?」
『あ、ありがとう…!』
エペル「あれ?グリムくんはいないの?」
『うん、寒いからってスカラビアに行くーーって飛んでっちゃった』
エペル「ふぅん……それなら…よかった…かも」
『ん?何?』
エペル「な、何でもない…よ!」
『はい、寒い中ありがとう。これで温まって』
エペル「りんごの香り…」
『うん、乾燥させて紅茶と合わせたの』
エペル「いただきます……ん、美味しい!」
『よかったあ!』
エペル「ちゃんからいつも甘い香りがするのはこれのせいだね」
『あ、うん。魔法瓶に入れて持ち歩いてるから……』
エペル「あははっ、気に入ってくれててよかったよ」
『そりゃもう!毎日食べても飽きないよ!貰ってばかりでごめんね、何かお返しあればいいんだけど……』
エペル「ううん、そんなのいいんだ。僕があげたくてしてるから」
『エペルくん……』