第6章 シニカル【傭兵】
×××
『……??』
さっきからガチャガチャしているのに扉が開かない。
後ろから気配を感じた瞬間、腕が両肩から伸びてきた。
ガシッとノブを捻ろうとしている私の手を掴んで、もう片方の手は私の腰をグイッと引き寄せる。
『……離して…』
掴まれていない方の手で腰に巻きついた腕を剥がそうとした。
でも傭兵なだけあって、小柄でも力には負ける。
一向に離す気配のない手を必死に剥がそうと戦っている私。
少しだけ剥がせられると思った瞬間、私の視界はぐるっと回った。
『わっ…!』
近くにあったソファに押し倒された。
逃げ出そうとする私を分かっているかのように、両手の手首をナワーブに掴まれた。
頭上に持っていかれ、抵抗できない状態にされた。