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裏夢短編集 【第五人格】

第8章 月下美人【配達員】



中々逃げようとしない彼にイラついてきて、つい言ってしまった。

『早くッ……私がαの私になる前に逃げてよッ!』

ビクターはビクッとしながらも逃げようとしない。

むしろ腕を私の首元に伸ばしてきて、ぎゅっと抱きしめてきた。

『っっ!?!?!?』

甘ったるい匂いがさらに強くなり、頭が痛くなる。

ぷつんと理性の糸が切れる音が脳内に響き渡る。

『ッ……逃げなかったこと後悔しないでよね…』

耳元で囁いた私にビクターの顔がどんどん熱くなっていく。

ビクターの服をはだけさせ、手袋と帽子はポイッと投げ捨てた。

そのままビクターを後ろへグイッと押して、ベットに寝転ばせた。

ビクターが逃げないように彼の腕を固定する。

『はぁはぁ……もう理性がもたないからッ…酷くしても責任は取れないからっっ!!』

ビクターは相変わらず逃げる気もなく、発情した瞳を私に向けてくる。

それが興奮の材料になっている事を本人は知らないのだろうか?いや、知っててわざとしているのかもしれない。

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