第8章 月下美人【配達員】
初めてエウリュディケ荘園に来た時も、社交恐怖、視線恐怖から人を避けているためだった。
隣の私には手紙を寄越して挨拶はしていた。
直接見たのが最後だったのはもう1ヶ月も前だ。
なぜ、そんなに期間があるのかは簡単な話だ。
同じチームになる事が無かったからだ。
これからも関わることなく手紙だけが送られてくる日々を過ごすと私は思っていた。
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『っっ!?!?!?』
私は飛び起きた。
何処からか分からないが、αである私を誘惑させるフェロモンの匂いが微かに匂ってくる。
私の理性はギリギリだった。
思わず私は生唾を飲み込む。
今までΩのフェロモンの匂いなんて嗅いだこともなかったが、本能が言っている。
頭で考えるよりも先に身体が動いていた。