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裏夢短編集 【第五人格】

第8章 月下美人【配達員】



この世界で女性のαなんて珍しい。

私はこのエウリュディケ荘園に来てからというもの、αである事を隠した。

わざと間違えたり、わざと攻撃を食らったり、わざと足を遅くして走ってみたりと色々誤魔化してきた。

女性のαと結ばれるのはΩだけ。

その事実を受け止めたくは無かった。

しかし、同族であるαには分かるのかもしれない。

裕福な生活をしてきたであろう男_囚人のルカ・バルサーは天才だった。

その天才力から私はαであると予想はしていた。

もちろんその予想は当たっていたようだった。

だが、私は彼と関わることも無く、ただ……部屋に篭ってばかりだった。

そんな日々を過ごしていたある日の事だ。
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