第8章 月下美人【配達員】
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私がαと分かったのは、本当に突然だった。
家系にαだったのはたった1人だけ。
その血を受け継いだのがこの私、ルイス・オーウェンだ。
私は〝特別扱い〟をされて生きてきた。
αってだけで、顔が良いとかスポーツ万能だとか、知的だとか、そういう目でしか私を見ていない人だらけだった。
実際にαの私は完璧人間だった。
でも…それが余計に私を苦しませる材料でしか無かった。
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このエウリュディケ荘園に来てからというもの、αとかβとかΩとか関係なく過ごしていきたいと私は思っていた。
でも__そんな願いは聞かない。
今日もどこかで噂されているんだ。
エウリュディケ荘園の仲間たちの殆どがβだ。
αなんて私を入れても、4人ぐらい。
Ωに関しては薬の効果のおかげで、誰かなど特定はされていない。