第3章 好奇心は時には狼を見せる 【囚人】
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ホールに来なかった人達の分は私がその人たちの部屋の前まで行き、ドアをノックして扉の前に置いてきた。
相変わらず納棺師のイソップ・カール君や傭兵のナワーブ・サベダー君…墓守のアンドルー・クレス君などはこの荘園に来てからみんなで食事を摂りに来ることは無かった。
私は深入りする事は無く、いつか来てくれるのを願いながら朝食を持っていくのだった。
ルカの部屋の前を通り過ぎようとしたが、思わず足を止めて扉の前に耳をすましてしまった。
微かに作業する音が聞こえてきた。
ここ何日かずっと作業に没頭しているんだろうと思った。
生きていることに安心した私はそっと部屋の前から離れて、みんなの待っているホールに向かった。