第2章 1
私があの人に出会ったのは雨の降る夜の事だった。
やけに静かな夜だった。
放課後に友達と遊んで帰るのが遅くなってしまい、辺りはもう真っ暗になっていた。
いつもは滅多に家に居てないはずの父から電話の着信音がずっと鳴っている
さっき電話に出てみた。
別に帰るのが遅くなって怒っての電話では無いようだ。
「今帰ってる途中。もう少しで着くから!」
そう言って電話を切った。
また着信音が鳴り響いた。
画面を見るとやっぱり父からだった。
放っておくとが切れたが、また着信音が流れ始めた。
煩わしく思い着信音を鳴らしたままスマホを鞄の中にいれた。
あれだけ電話を掛けてくるのだから何か話でもあるのだろうと思い少し急いで帰ることにした。
少し駆け足で、普段は通らない路地裏の方へ曲がった。
この道を使うと、家のある住宅街の入り口まで行けるので少しだけ早く帰ることができる。
だけど、細くて薄暗い道でなんだか気味が悪いので、よっぽどの事がないと使わない。
今日はよっぽどの事になるのかは分からないが、急ぐことに越したことはないと思い使うことに決めたのだ。