第7章 薔薇の法律
数日後、私なりにハーツラビュルの内情を調べてみると、やはり危惧した通りの結果だった。
ありゃいつか寮生が不満を爆発させてストライキ起こすだろうな。
ほとんどの寮生がリドルのスキルの高さは認めているものの、横暴さに納得していない様子だから大変なことになる前に止めた方がいいと思う。
……と、トレイに言ったら「俺には何も出来ないよ」だってさ。
「寮長が間違った事をしたら止めるのは副寮長の仕事だと思うんだけどね……」
寮長が寮長なら副寮長も副寮長といったところか。これはお手上げだ。他寮の私にはどうすることも出来ないな。
来年にはヴィルがポムフィオーレの寮長になるから私は下手なこと出来ないんだよね。嫌だけど、どうせ副寮長にさせられるだろうし。
「……ん?」
はぁ〜とため息をつきながら上を見上げたら、何故か木に登っているリドルを発見。猫かお前は。
「薔薇の君?そんな所でどうしたんだい?」
「ル、ルーク先輩……」
「大丈夫だよ。受け止めてあげるから降りといで」
「ち、違います!降りられなくなった訳ではありません!」
ありゃ?違うの?てっきり登ったはいいけど降りられなくなった猫かと思ったよ。
じゃあなんのために登ったんだ……と疑問に思ってたら近い場所で奴の声が聞こえた。
「金魚ちゃ〜ん。どこ〜?」
……あいつか。
上を見上げてリドルへ目配せを送る。
任せろ。ウツボ狩りは得意なんだ。
「ボンジュール!フロイドくん!」
「げっ!!なんであんたがここにいんだよ!?」
「フロイドくんの声が聞こえて居ても立ってもいられなくなってね!相変わらずキミは元気いっぱいで可愛らしいね!思わず抱きしめてしまいそうさ!!」
「やめろやめろ!!こっちくんな!!!」
「そんなツレないこと言わないでおくれ」
ダッシュで逃げるフロイドの後を追いかける。なるべくリドルから引き離そう。ちゃんと降りれるよね?
とりあえずフロイドには少しわからせてやらねばいけないな。あんな体が小さい子を追いかけまわすなんてけしからん。