第7章 薔薇の法律
「ルーク先輩、ありがとうございました」
帰寮しようと鏡の間へ行ったら、待ち伏せていたのかリドルに礼を言われた。
律儀な子だなー。私が勝手にしたことなんだからお礼なんていいのに。
「気にしないでおくれ。フロイドくんと追いかけっこするのは楽しいんだよ」
「そ、そうですか……フロイドの方は嫌がってるみたいでしたが……」
「フロイドくんは本当に照れ屋だね!」
「アッはい。そうですね」
逃げる獲物を追いたくなってしまうのはハンターの性質さ。
フロイドにイライラさせられることも多いけど、わくわくすることも同じくらい多いから憎めないでいる。
ちなみにマジで照れ屋だなんて思っていないから安心したまえ。
「あの……ご迷惑でなければ今後フロイドに追いかけられた時、先輩の所に来てよろしいでしょうか?」
「うん?私の所に?」
「ええ。どうやらフロイドの弱点が貴方のようなので」
「構わないよ。むしろフロイドくんを連れて来てくれるなら大歓迎さ!」
なるほど、考えたなこの子。確かにフロイドを追い払うのに適してるのは私くらいだもんな。
いい子いい子と頭を撫でてあげたら、驚いて目を見開いたあと猫のように目を細めた。
「子供扱いはやめて下さい……」
そうは言うものの嫌がってる様子はない。
ちょうどいい位置に頭があったから撫でてみただけなんだけど、なかなか良い反応をもらえた。
頭撫でてもらうの好きだったりするのかな?小さい頃はよく親に撫でられるものなんだけどね。まぁ、機会があればまたなでなでしてみようかな。
そして、その後──。
有言実行したリドルによって私がフロイドを追いかけることが多くなり、周りから『NRC名物バカコンビ』と称されたのであった……。