第7章 薔薇の法律
「そういえばリドルくんは一年生ながらに寮長だと聞いたよ。前寮長とは馬が合わなかったのかい?」
「はい。ハートの女王の法律を守ろうとしなかったので、僕が寮長の座を奪い取ってやりました」
……ん?ハートの女王の法律?
そんなのあったのか。初耳だ。
「ちなみにその法律は全部で何条あるんだい?」
「810条です」
810条!?!?!??!!!?
当たり前のように答えてるけど、キミ810条ってかなり多いぞ!?
しかも、どうせあの超ワガママで横暴な女王が決めた法律なんざクソどうでもいいものばっかだろ!?
「……キミはそれを全部覚えてるのかい?」
「当然でしょう。そうでなければ寮生に示しがつきません」
すげーなオイ!!私は絶対無理だわ。どうでもいいことは3秒で忘れるからな!そもそも覚える気すらないわ!!
「法律を守らなかった寮生はどうなるんだい?」
「首を刎ねて反省文を書かせます」
ハーツラビュルの皆さんどんまいでーす!
去年ハーツラビュルが第一候補だったけど、入寮しなくてよかった!!ありがとうヴィル!!さすがヴィル!!
私がハーツラビュルに入ってたら毎日反省文だぞ。地獄かな。
とはいえ、ハートの女王の法律がどんなものか知らないな……。
「法律はどんなものがあるのかな?」
「そうですね……『夜のお茶は紅茶は避けてハーブティーにすること』や『フラミンゴの餌やり当番はピンク色の服を着用すること』などがありますね」
くっだらねーーーー!!!!!予想通りすぎて逆にびっくりだわ!!!!
夜のお茶なんて好きなもん飲めばいいし、フラミンゴの餌やるのに服の色決められてんのも意味不明!!
え、マジで寮生たちこの法律守ってんの??こんなくだらん法律が810条もあるんでしょ?
「まさかとは思うけれど……810条もの法律をすべて守ってるなんてことは……」
「そんな当たり前のことを聞かないで下さい。当然、守っています」
トレイさん、トレイさん。おい、目を逸らすな。苦笑いで逃げようとするな。これはハッキリ言って異常事態ですよ。
クソどうでもいい810条の法律を強制されて守らなければ首を刎ねられて反省文って圧政もいいとこですよ。
寮生たち大丈夫なの?息してる?