第7章 薔薇の法律
「トレイ!」
「来たな。リドル、ルーク」
リドルがトレイにあらかじめ連絡を入れてくれたおかげで、彼とはスムーズに会えた。しかもお茶会の用意までしてある。さすがトレイ氏。
「ケーキ残念だったな。また作るからその時にヴィルにやってくれ」
「ありがとうトレイくん。ヴィルも喜ぶよ」
「さすがに急だったんでケーキは用意できなかったが、クッキーならあるから食べてくれ」
数は多くはないけど、おそらく小腹が空いたときに用意していたクッキーが並べられてある。
わーい。じゃあ遠慮なくいただきまーす!
「うん。トレイの作るお菓子は絶品だね」
「はは、ありがとうリドル」
さっきまで眉間に皺を寄せて難しい顔をしていたリドルもトレイのお菓子の前では年相応の少年だ。
つーか、笑うとめっちゃ可愛いじゃんこの子!!!癒されるぅ!!
「ところで、ルーク。好きな食べ物はなんだ?」
「レバーパテだね。それが何か?」
「今から魔法をかけるぞ。『薔薇を塗ろう』!」
トレイがマジカルペンを振ると、キラキラと光の粒がクッキーへ注がれる。
ぽかんとしてるとトレイに食べてみろと急かされたから一口食べてみると甘いクッキーの味ではなかった。
「これは……レバーパテ?」
「そう。俺のユニーク魔法『薔薇を塗ろう』だ。対象の要素を上書きできるんだ」
うぐっ……トレイもユニーク魔法使えるのか。
周りがどんどんユニーク魔法覚えていく中、私だけ取り残されてる気がする。でもこればっかりは仕方ないよなぁ……。
「そういえばケイトがこの前ユニーク魔法が発現したと言っていたね」
「あぁ。なんだったかな……確か『舞い散る手札』と名付けたって聞いたな」
「ムシュー・マジカメもなんだね。トレビアン!今度見せてもらおう!」
いろんな人の個性溢れるユニーク魔法は見ていて楽しいものだ。
私はまだ使えないけど、洗脳系のユニーク魔法がいいな〜。フロイドがまた巻き込んできたら「崖から落ちろ」って命令してやる。