第7章 薔薇の法律
それにしてもユニーク魔法かぁ……一年生でも使える人結構いるのね。
私は……実を言うとまだ発現していない。
『ユニーク』とは『特異』という意味を持つ他、『唯一の』『たった一つの』という意味でもある。
簡単に言えば『たった一つの特異魔法』という訳だ。
たった一つしかないから価値ある物で、いつ発現するかは個人による。
魔法士として優秀かどうかは問題じゃない。
魔法が苦手な者でも幼少期に発現することもあれば、教科書に載るぐらい偉大なる大魔法士が大人になってからやっと発現した例もある。
一体、何がきっかけで発現するかわからないのだ。
発現させようと思って発現するものでも、ましてや作ろうと思って作れるものではない。
「リドルくんも悪いけれど、フロイドくんも魔法を使う時は周りをよく見ておくれ。帽子とケーキで済んだからいいものの、次は私に当たるかもしれない」
「なんだよ。異世界に飛ばされてデスゲームに強制参加させられても、しぶとく生き残ってそうなのに」
それは一体どこの今際の国のアリスだやめろ!!
リドルも「わかる〜」みたいな顔するのやめろ!!
私は一体後輩にどんなイメージ持たれてんだ!?泣くぞ!?
「とにかく、リドルくんは気にしないでおくれ。トレイくんには私から詫びておくから」
「いえ、そういう訳には……トレイから「ルークは母親が亡くなって大変そうなんだ」と聞いているのでケーキくらい」
「ちょっと待ってくれリドルくん。それトレイくんから聞いたのかい?」
「?そうですけど……」
リドルの言葉を遮って確認をとると、何故か母親が亡くなっていることになっていた。
いやいや、生きてるよ!?お母さんめっっっっちゃ元気よ!?
「え、そうなの?俺は身分差の問題で恋人と引き裂かれたって聞いたけど」
「……ちなみに誰に聞いたんだい?」
「アズールとホタルイカ先輩が話してたの聞いた。これじゃ取り引きの材料としては弱いですねってアズールが残念がってたよ〜」
あーーーー!!!あんたら何、人の過去ベラベラ喋ってんだ!!!
いや、違う!!誤解を招く言い方した私が悪いな!!うん!!
ていうか、アズールとイデア知り合いだったのね!!今知ったわ!!!
……アズールが私と取り引きしたがってる件については聞かなかったことにしよう。
「それは誤解さ。私の母は生きてるし、恋人もいないよ」